| アスティナの飼い方 |
日頃のお手入れ法
- ドライブシャフト交換日記
倉橋さんからドライブシャフトの交換方法についてのとても詳細なリポートを頂きました.
日記形式でお送りします!
◆ステアリングコラムカバーの取り外し
- 2000年秋
- ドライブシャフトより異音。舵角の大きい路地の角などでカタカタ音が発生。
昨年の夏の大雨で下回りが水没したため、グリースが流れたのか?と思いあたるところあり。
音消しグリースが良いとの噂もあり悩む。
手間が少ないなら、と思ったが根治めざしてドライブシャフト交換で検討。
- 2001年冬
- 異音ますます大きくなる。リビルトパーツでドライブシャフトがあるのを知る。
ディーラーでは工賃込みで約5万円との情報を得る。
ドライブシャフトはリビルトパーツで約1.5万円ほどらしい。
- 2001年2月
- リビルト品のドライブシャフトをインターネットで見積もりを取る。
\11,000と出た。これは換えるしかない。2年間の保証付きとのこと。
音は右側から真中までの周辺から出ていると見当をつけ、右ドライブシャフトで見積もりを取った。
- 2001年3月
- ハブナットを外す必要があることを知る。アスティナのハブナットは32mm。
しかしこれに合うレンチがない。某重機販売代理店でやっと発見。
しかし値段が高い。柄と一体のものが安いので買って帰る。
帰宅後ハブナットにあててみるとホイールの真中に空いている穴に入らない。
正確に言えば柄が邪魔をしてナットにレンチが充分かからない。
- 翌日
- 昨日買ったレンチを返品。次に候補に上がったのはラチェット付きの柄一体型レンチ。
長めのボックスレンチが組み込まれている。しかしこれがまた高い。
19mmソケットのハンドルだと安いので購入。
たまたま手持ちがなく32mmのコマは買わなかった。
- 翌週
- 32mmのコマを買いに行く。しかし先週の販売代理店、模様替えして工具販売コーナーがなくなっていた。
帰路、DIY店にて12mmヘッドで使用できる32mmボックスレンチのコマを購入。
家にある12mmハンドルとセットすればハブナットが回るはず。
ちなみに19mmヘッドに使用できる32mmコマは売っていなかった。タガネも購入。
- 翌週
- 1度タイヤを外して下見。右ドライブシャフトだとの見当は当たり。
なぜならミッションがエンジンの左端にあるため、右シャフトは左に比べて異様に長い。
エンジン下に潜る必要がある?
ドライブシャフトの軸の切り欠きにタガネを当てる。
ナットのへりがこの切り欠きへ落ちるよう打ち込まれており、回り止めになっている。
ところがタガネの歯が厚すぎ、切り欠きが広がり出す。
緩めるつもりが逆に広げてカシメてしまっては元も子もない。
電動グラインダーで歯をけずる。さすがに硬い鉄らしく、盛大に火花が散る。
ナットのヘリはうまく広げることができた。
ハブナット回しに挑戦。32mmボックスレンチ+ハンドル+手持ちのパイプ。
これがまたパイプがぐにゃぐにゃ。DIYで購入した厚さ1mm程度のパイプではまったく歯が立たない。
今日は水入りか。せっかく広げたハブナットを再びタガネでカシメ直す。
タガネの歯を何度も当てたのでナットはボロボロになってきた。再利用は無理かも。
- 翌週
- 金属材料店にてステンパイプを切り出して貰う。長さで悩む。
短過ぎてはトルクがかからない。長すぎては車に乗らない。
1.5m程度にする。内径は念のため、手持ちの19mmヘッドのレンチハンドルがぎりぎり入る大きさ(約25mm)にする(12mmハンドルは余裕で入る)。
- 2001年4月
- 再度挑戦。パイプはびよんびよんと弾力のある手応え。ウりゃーと力をかけるとぐいっと回る。
やったー!と力をかけるとさらに手応えが軽くなり、なぜかカランとハンドルが外れた。
近付いてみるとハンドルの12mmヘッドがサイコロのように地面に転がっている。ねじ切ってしまった・・
12mmヘッドではトルクに耐えられない。ハブナットを何度も広げたりカシメたりしているので、通常よりも大きいトルクが必要になっているのかも。< BR>
トホホの気分で再びハブナットをカシメ直す。
- 翌週
- DIY店でなく、近所の金物店へ行ってみる。プロがよく来る店。
いろんなタイプのノコギリやめちゃめちゃ大きいハンマーなどが置いてある。
ここでやっと19mmヘッドのボックスレンチのコマを発見。
しかも6角だ。12角だとなめる可能性ありと聞いていたので、これはラッキー。
純正アルミホイールのキャップをはずし、センター穴にきちんと入ることを確認。即購入。
再びハブナット回しまで練習することに。延長パイプで19mmヘッドのハンドル、さらに32mmのコマ。
車のハンドルをまっすぐにしてあるとフェンダーアーチのリップに傷を入れそうなので、少しハンドルを切っておくのがコツ。
タガネで再びカシメを外して力を入れる。弾力感はさすがに減った。
今度は軽く回った。たいへんに嬉しい。タイヤまではずしてみる。
どのようにすればシャフトが抜けるのか見ながら考える。
ためしにシャフト軸をハンマーでコンコンと叩いてみると、なんとハブから1cm近くシャフトが抜けようとする。
サスペンションのアッパーをはずせば抜けるだけのスペースが生まれるかもと考えるだけでワクワク。
今日はここまで。
- 数日後
- インターネットでドライブシャフトを注文。振り込み手数料は\400くらい。
送料無料が嬉しい。交換後、中古シャフトを送り返す必要がある、とのこと。
返送料も無料である。
- 3日後
- シャフトが届く。グリースやシャフトブーツが別途必要かと思っていたら、すべて組み付けられた状態で届いた。
つまり外側から手で触ってもベタベタしたものに触れなくても良い状態。しかもハブナットまで付いている。
そして案外と重たいのに驚く。また、インナー側のエンドに緑色に塗られたカタマリが付いており、かなり重たい。
やはり車の下に潜って手でガイドしてやらないと入らないかも、と思う。
交換後の返送は2週間以内にお願いしますとの案内状が気になる。4/30がちょうど2週間となる。
多少余裕を持って貰えても連休中にはカタを付けなければいけないな、と緊張する。もうやるしかない。
- 4/30
- 結局あまり時間が取れない。実家で作業しているが、用事があって、実家にいられるのは2時間くらい。
ボンネットを開け、サスペンションのアッパーを外すがドライブシャフトは1.5cmほど奥に引っ込むだけ。
ハンドルを切ってもダメ。これはやはりハブ周りのリンク類のどれかを外す必要があるのか。
- 一番外しやすそうなのは、ステアリングのロッド。エンドはボールジョイントになっている。
割りピンを抜き、 14mmナットを外してハンマーで思いきり下から上に叩く。しかし力が入らない。
ネジ部を叩いたらナットが入らなくなるので、それほど破壊的な力はかけられない。
ここはあきらめる。
- 次に目をつけたのはロワーフレームとハブとの固定部。
ロワーフレームの3角形による上下のあおり運動をここでボールジョイントを介してハブに伝えている(逆にロワーアームに伝えると言うべきか?)。
ハブの中でも特に厚みのある部分にスリットが入り、 14mmのボルトとナットでボールジョイントからの短いシャフトをかしめている。
ナットは軽く回り、外せた。しかしボルトが抜けない。
ここもネジ山を破壊したくはないのでそこそこであきらめた。
- 残るはストラットケース(サスペンションの筒部)とハブを固定している部分。
17mmのボルトナットが2組。17mmのメガネレンチをかけるが、トルクが足りずに微動だにしない。
パイプで延長しようにも、両メガネだと17mmの反対は19mm。パイプに入る大きさではない。
ホイールナット用の十字レンチをあててみるとたまたま17mmがあったが、これでも回らない。レンチの端をハンマーで叩いてもダメ。
ここで時間切れ。しぶしぶと元に戻す。工具一式を自宅まで運んできた。
- 5/3
- メガネレンチで延長できるよう、DIY店にて片メガネレンチを購入。
17mmのメガネの反対は2爪の普通のレンチ。ここにもうひとつのメガネレンチを噛ませて延長する作戦。
17mmのラチェット付き柄付きのレンチもあったが若干高価なうえ、柄が細いと曲がる可能性もあったので避けることにした。
また、プーラーも購入。あまり大きいとスペースに入らない可能性があり手のひら程度の大きさのもの。
値段はそれなりにするがもうあとには戻れないのでサクッと購入。
念には念を入れ、サスペンションコイルを縮めるための荷造り紐も購入。
自宅近くの借りてる駐車場にて作業開始。実はこの日もあまり時間がなく、日没まで3時間ほど。
先日までの段階へは練習の成果で5分とかからず到達。問題は次だ。
まずはステアリングのロッド。割りピンとナットを外し、プーラーを懸ける。
プーラーの頭は14mmボルトとなっている。1度プーラーの押し出し軸が滑るが、
だんだん固くなるボルトを力にまかせて回していくとパキン!と大きい音がしてエンドがはずれた。
ブレーキラインも念のためできるだけフリーな状態にしておく。
クリップをマイナスドライバーでこじって取り外す。
ハブ部はハンドルの切れ角の拘束から離れたので左でも右でも自由に向きを変える。
あとはブレーキラインの長さが角度を決めているだけの状態。
理想的にはハブ部を真横に向ければ、ドライブシャフトは抜けてくれるはず。
エンドはユニバーサルジョイントだからかなりの角度まで首を振れるはずだからだ。
しかし、実際は90度は無理かもしれない。また、ハブも真横までは向きを変えそうにない。
けれど、ドライブシャフトにはインナー側にもユニバーサルジョイントがついている。
90度まで行かなくても抜けてくれるかもしれない。シャフト軸を軽くハンマーで叩いてみる。
惜しい!もう少しなのだが、抜けてくれない。
やはりストラットケースの17mmナットをはずすしかないのか。
レンチを2個ジョイントさせ、ジョイント部が滑らないよう注意し背筋でナットに力を集中する。
レンチの柄がしなっているのがわかるし、あきらかにしなっているのが見える。しかし外れない。
ハブ下にジャッキを入れてサスペンションを縮め、スプリングに荷紐をかける。
かなり縮めたつもりだが1cmほどしか縮まなかった。
アッパーマウント側のナットを緩めてもサスユニットは抜けない。
もういちど17mmナットに挑む。
もし、ジョイントさせたレンチの合わせ目が滑ると絶対にフェンダーに傷がつく、と確信できるほどの力をかけた。
するとググッと少し回ったような気がした。
もういちど試すと確かに回っているようだ。ボルトと一緒に回っているのかと思ったがそうではないようだ。
とりあえず1本は外せた。
17mmはもう1本ある。こちらも渾身の力を込めてみる。もう顔は真っ赤。
暑くて半袖になる。CRCのスプレーでギトギトにして再び試してみる。
何度か試したあと、こちらもほんのわずかながら回り出し、ついに外すことに成功した。
やったー。しばし地面に座りこんで放心状態。
ハブはロワーアームとの連結部、ボールジョイント1個だけで固定されているグラグラの状態になった。
ドライブシャフトを抜いて見る。ちょっと注射器を抜くようなエアー感とともに、スポンと抜けた。
その軽さに思わず拍子抜けするくらい。
しかし抜けたとたんにその重さがずっしりと腕に来る。インナー側のスプライン部(ギザギザの回り止め加工)ともご対面。
新しいドライブシャフトを持ち、まずはつっこんでみる。
シャフトブーツがまだ固いこともあり、緩い仰角をつけるとスプライン部の先端が入るべきところに触ったようだ。
手の感触を頼りにこわごわ押し込んでみる。
少しエア漏れしている注射器のようなエアー感とともにスポンと入る。次はアウター側・・・
改めてアウター側を見ると、薄いダストリップカバーが接続部を軽く押さえるようになっている。
このリップ部を中に噛みこんでしまってはまずい。おそらくインナー側も同じようになっているはず。
せっかく入ったインナー側だが、今度も手の感触を頼りに何度か抜き差ししてみる。
するとスポンスポンといつまでもスムーズで想像するにちょっとムフフな感触(男性ならわかるかも?)。
これなら大丈夫と思い、今度はアウター(ハブ)側へ。
ドライブシャフトのエンドをできるだけ横に、首をかしげさせてみる。
入りにくい。それならと今度はハブにめちゃめちゃな角度をつけてみると何とか入った。
しかしこのとき、ロワーフレームとの接続ジョイントを保護するダストブーツに細かい切れ目を発見。
中の金属部が銀色に光っている。ここに土や砂利が入るとまずいことになる。
けどとりあえず今のは見なかったことにしてもとの通りにしていく。
しかし、難関はまだあった。ステアリングロッドの再組み付け時にナットがどうしても入らないのだ。
先日ハンマーで叩いたときネジ部を傷付けてしまい、ナットが回るのに抵抗になってしまっているようだ。
この部分はボールジョイントなので、ナットと一緒に中のボールまでが共回りしてしまう。これは困った。
何度かナットを締めたり戻したりしながらネジ山が馴染んでくれるのを期待していると、
いちばん固いところを通過してくれたようで、うまくナットが元の位置に収まった。やれやれ。
◆かかった費用内訳
- パーツ
-
リビルトドライブシャフト・BG5P用・右側
\11,000+TAX\550
- 購入先
- 有限会社 橋本部品サービス
〒700-0921 岡山県岡山市東古松 4−6−35
(TEL) 086−233−2839
(フリーダイヤルFAX) 0120−84−1182
楽天市場店 http://www.rakuten.co.jp/hashimotobuhin/
◆工具
- 使った工具
- 17mmのコンビネーションレンチ 長さ約30cm
(片方は12角のメガネレンチ、もう片方は普通の2爪レンチ)
約\1,300
- 32mmのボックスレンチ (19mmヘッド用)
約\1,600
- 上記レンチ用ハンドル
19mmヘッド用
ラチェット機構やスライドハンドル機構なし
約\3,500
- ステンレスパイプ
長さ1.5m
肉厚約4mm
内径約25mm(レンチハンドルの柄が入ること)
約\4,000
- プーラー
最大外径10cm程度用のもの
約\3,500
- タガネ
ハブナットのカシメ外し用
歯の厚みに注意!
約\500
- 既にあった工具
- 延長用メガネレンチ
17mmの片メガネレンチの2爪に噛ませ延長して使用
約\1,500
- 14mmメガネレンチ
プーラー用とサスアッパーマウント・ナット外し用
- ハンマー
タガネ打ち込み用
- プライヤー
割りピン外し用・車載工具で充分
- 壊した工具
- 12mmヘッドのボックスレンチ用ハンドル
約\2,500
- 役に立たなかった工具
- 12mmヘッドソケット穴を持つ32mmのコマ
約\1,200
◆反省
- 結局、荷紐によるサスペンションのコイル縮めは不要であった。
ただアッパーマウントのナットを多少緩めておくのは良いように思われる。
それから、ボールジョイント部の連結ボルト部、ナット部はハンマーで叩いてはいけない。
最初からきちんとプーラーを使うべき。ここは危ないところだった。
また、最も馬鹿力の必要だったところは、17mmのボックス組み込みタイプのラチェット付きレンチでも回せたかもしれない。
あまり細い柄のものを選ばなければ、延長パイプも使えるので楽にできたと思う。
19mmのメガネレンチが入る内径のパイプをもう1本用意できれば楽勝。
またハブナットを緩める際も、ホイールをはずせば柄付きの安いレンチでもアクセスできたとも思う。
しかしその場合はジャッキアップが必要となり、下向きの力はサスを伸ばす方向の力となる。
パイプを押し上げる方向で(つまり右車輪なら車の前方から)緩めるようにすれば大丈夫か?
また、割りピンは新品を使うのが基本だそう。さらに、ときどきは、増し締めなどのメンテが必要と思う。
足回りだけに何かあれば事故につながります。注意しましょう。
工具とパーツ代の合計は約\26,000となりました。さて安かったのか高かったのか???(笑)
Authored by
Hisashi Nakahara, 2002